メイクボランティアを始めたきっかけ

№1

NPO法人 明日(あす)はもっと綺麗隊の主旨である

綺麗を通していきいきとしていただく  このきっかけとなった

ことをお話させていただきます。

私は29年前より化粧品の販売をしています。25年前くらい前にお客様の紹介で

左側半身麻痺がある女性が、化粧品を購入したいので

施設に来て使い方を教えてくれないかと 連絡を受けました。

施設でしたので、夕食の終わった自由時間に来てくださいとのことで

その時間帯に伺いました。

そこで泡立ての仕方など教えましたら、その方は、半身が不自由でしたから

洗顔の泡立てを、膝で始めたのです。それを見て私は、はっと驚きました。

泡を立てる=両手でするものしか頭になかったからです。

目から鱗でした。障がいがある方の生活をまったくイメージ出来て

いなかったのです。

泡立ての説明が終わったあたりで、その施設の職員の男性が、

私二人の前にきて、 大声で怒鳴りだしたのです。

注意ではなく、恫喝に近いものでした。

私は何が起こったかわからず、きょとんとしていました。

すると、私を呼んだ女性が、泣きながら

「成瀬さん、ごめんなさい。ごめんなさい」と

何度も私に謝るのです。

結局、説明も途中で私は帰ることになりました。

今でもなぜあのように言われなければならなかったのか

わかりません。

施設の事情もあったのだとしても

彼女の働いたお金で、自由時間に洗顔の説明を受けることが

いけないことなのだろうか?

あんなに大声で注意(というより恫喝に近い)を受けなければ

ならないのか?

私は帰宅する車の中で、

綺麗になりたい という誰もが思うであろう気持ちを

簡単に行動に移せない、不自由な思いをしていると思うと

怒りや悔しさで、涙が止まりませんでした。

当たり前のことが出来にくい人もいるんだと思うと

いてもたっても居られなくて

障がいのある方へのメイクボランティアをさせてくださいませんか?

と声をかけるようになりました。

が、私が化粧品を販売しているので、販売目的ととられたのか、

又、当時は綺麗にするという事が後回しだったせいか

どこからも、良い返事はありませんでした。

あまりに断られる私を見て、知り合いの校長先生が、

気の毒に思ったようで、

知的障がい者施設の成人の部に、お声をかけてくださいました。

そこで言われたのが

「髪を切るならわかるけど、なぜ メイク?」

「メイクしたいという人はいないと思いますよ」

でした。

20年以上前は、ADL(日常生活動作)介護が主で QOL(生活の質)は

後回しだったのです。

やっと1度だけならというお約束で

メイクをさせていただくことになりました。

誕生日月の方をおひとり決めて、音楽をかけながら

皆さんの前でデモンストレーションの形で

メイクをして差し上げました。

おひとり終わり、他にしたい方いますか?と

声をかけたましたら、全員が手を挙げてくれました。

メイクが終わった後の、ご本人の眼の輝き

見ている方々の目の輝き 

忘れることが出来ません。

誰だって、綺麗になりたいはず!

そんな勝手な思い込みでしたが、

やっぱりそうだ!と

心の中でガッツポーズをしました。

それ以後2か月に1度 メイクボランティアで訪問という形になり,

近年は高齢者の方々へもメイクをするようになっています。